最低賃金引き上げが与える影響について

令和4年8月23日に全ての都道府県で地域別最低賃金の答申がなされました。
47都道府県で30~33円の引き上げとなります。
この引き上げ額は昭和53年度に目安制度が始まって以降で最高額となっています。
令和4年10月から適用されますので早めに準備をしておきたいですね。

目次

引き上げが与える影響①人件費の増加

最低賃金が上がることで企業が負担する人件費は当たり前ですが増加します。
現時点で令和4年10月の最低賃金引き上げ後の金額よりも高い賃金を設定していれば今回増額する必要はありません。
これに対して現時点最低賃金ギリギリに設定している場合は10月以降30~33円(地域による)増額しなければなりません。
フルタイムで入っているパートの方の場合、
31円×160時間(月平均所定労働時間:仮)=4,960円となりますので非正規労働者の多い企業はかなりの負担になります。
これに伴い社会保険料も増額するのでさらに負担増です。

引き上げが与える影響②雇用の抑制

過去のデータによると、最低賃金が大幅に増額となる場合企業は雇用を縮小することが明らかとなっています。
正社員は現時点でも最低賃金を上回っている場合が多いので影響は少ないようですが、非正規労働者
は新規採用の抑制や有期契約の雇い止め等により雇用調整されやすくなってしまいます。
雇い止めは厳しい審査を受ける場合もありますので慎重に判断する必要があります。

引き上げが与える影響③正社員の負担増加

②のように非正規労働者の数が減少すると業務が回らなくなりその負担は正社員が負うことに
なります。
時間外や休日労働が増加する可能性もありますので注意が必要です。


まとめ

最低賃金引き上げは労働者のためだと思いますがこれにより雇用が調整されてしまうのであれば
本末転倒ですね。
厳しいと感じる場合は国の用意している補助金を検討してみましょう。
事前準備が大変な部分もありますが、上手く活用し雇用の維持に繋げましょう。
近所のパン屋さんに10/1から朝の営業をやめるとの張り紙がありました。
原材料価格高騰と人件費増加のため、という文面をみて職業柄色々考えさせられました。
いつもお店の外まで行列になっている人気店。私は買いに行って応援することくらいしかできませんが
なんとか頑張ってほしいです。

著者のイメージ画像

伊藤 明子

大学卒業後、都市銀行本店営業部に配属。学生時代に税理士を目指していたこともあり税理士法人へ転職。育児専念期間中にファイナンシャルプランナー取得。その後別の税理士法人に勤務しながら社会保険労務士資格を取得し、2022年4月開業。 2つのFM局でパーソナリティとして番組を持ち、人事労務についてなるべく専門用語を使わずわかりやすくを心掛け発信中。