最低賃金 月給者も注意が必要です

先日令和6年度の地域別最低賃金の答申状況一覧が発表されました。
47都道府県の引き上げ額は50~84円で、全国加重平均額は前年度から51円上昇して1055円となります。
時給で支払われている場合はわかりやすいですが、月給の場合も最低賃金には注意する必要があります。
その際の注意点について纏めます。

厚生労働省:令和6年度最低賃金額答申
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_42150.html

目次

月給を時間額に換算するには

最低賃金は時間額で定められているので、月給の場合は時間額に換算して比較する必要があります。

月給…基本給+諸手当
1ヶ月の平均所定労働時間…年間の所定労働時間数÷12

現在の給与を換算してみましょう

こちらのチェックシートは地域や給与額を入力して簡単に確認ができるのでお勧めです。


厚生労働省:あなたの賃金を比較チェック
https://saiteichingin.mhlw.go.jp/check/analyze.php

月給に含まない手当とは?

月給とは【基本給+諸手当】となりますが、上記の式で単純に計算できない場合もあります。
最低賃金を把握する際月給に含まないとされる手当があるからです。

精皆勤手当・通勤手当・家族手当

この3つが換算時に月給に含めない手当となっています。
ただし、これらの手当を含めなければならないケースもあります。
名称ではなく実態で判断しましょう。

東京労働局:月給制等の場合の換算方法実例
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/jirei_toukei/chingin_kanairoudou/toukei/saitei_chingin/gekkyuu.html

よくある誤解

  • 労働者と〇〇円で約束しているので関係ないと思っていた
    ⇒最低賃金は、働くすべての人に賃金の最低額を保障する制度です。
     決定した最低賃金より低い金額で約束していたとしても無効となり、
     差額の支払いが必要となります。
  • 経験が浅い者やアルバイト・パートの賃金を安く設定していた
    ⇒年齢や働き方の違いにかかわらず、すべての労働者に適用されます。
     この場合も上記同様無効となります。

まとめ

月給額のみに注目していていざ換算すると最低賃金を下回っているケースも多々あります。
特に今回は上げ幅が過去最高となっておりますのできちんと確認しておきましょう。
基本給や諸手当を変更する際は、労働条件通知書や雇用契約書の変更も忘れずに行いましょう。

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伊藤 明子

大学卒業後、都市銀行本店営業部に配属。学生時代に税理士を目指していたこともあり税理士法人へ転職。育児専念期間中にファイナンシャルプランナー取得。その後別の税理士法人に勤務しながら社会保険労務士資格を取得し、2022年4月開業。 2つのFM局でパーソナリティとして番組を持ち、人事労務についてなるべく専門用語を使わずわかりやすくを心掛け発信中。