副業・兼業の申し出があったら
今月厚生労働省から「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が発表されました。
従業員からの申し出に備えて会社が確認しておかなければならないことがいくつかあります。
目次
就業規則の見直し
現在の就業規則はどのようになっていますか?
そもそもこのような申し出があった場合、会社は認めなければいけないのでしょうか。
労働時間以外の時間は基本的に労働者が自由に使うことができるので認める方向で動いて
いくことになります。
ただし、何でも認めてしまうと情報漏洩などのリスクもありますし、労働者の健康も気になります。
そのため許可制を取っている会社も多いです。
事前に提出してもらう書類などきちんと規則に定めておく必要があります。
副業・兼業の業務を把握
従業員から申し出があったら、その業務内容・就業時間について確認しておく必要があります。
本業の業務内容によっては自由な時間は休息に当てた方が良い場合もあります。
会社としては色々と聞いておきたいところですが、労働者の私生活への過度の干渉はNGです。
プライバシーにも配慮しなければならないので必要以上の情報を求めないようにしましょう。
労働時間の通算
現在の制度では本業と副業・兼業との労働時間を通算しなければならないことになっています。
これが実務的にはなかなか難しいです。
例えば副業として入社してきた従業員が本業でフルタイムで働いている場合、こちらで働く時間は
すべて時間外労働となり割り増しが必要になります。
会社としてはモヤモヤしますね。
わざわざ割り増しを払わないといけないのであれば、副業で応募してくる方を採用するのは控えようと
なるかもしれません。
従業員からどのように申告してもらうかも決めておく必要があります。
例えば、一定の日数分まとめて申告してもらう、などです。
ちなみに労基法の適用されないフリーランスや起業者は労働時間の通算は必要ありません。
社会保険の加入
どちらの事業所で加入するか
それぞれの事業所で適用要件をみたしている場合は、被保険者がどちらの事業所で社会保険に加入
するか選択します。
どちらかの事業所が健保組合加入であればそちらの方が保険給付が手厚い場合もあるのでそちらを
選択した方が良い場合もあります。
保険料は?
選択された年金事務所・医療保険者において各事業所の報酬月額を合算、それぞれの報酬の割合で按分され保険料が決まります。
事業主はその按分された保険料を従業員の給料から控除、納付することになります。
雇用保険の加入
雇用保険は週20時間以上働く場合に適用されます。
どちらの事業所でも満たしている場合はどうしたら良いのでしょうか。
この場合、両方で加入することはできません。
従業員の生計を維持する主たる事業所において被保険者となります。
65歳以上のマルチジョブホルダーはまた異なる扱いになりますが
今回は割愛します。
労災給付は?
労災の保険給付は両方の賃金を合算して算定されます。
どちらかで怪我をして働けなくなった場合、もう一つの事業所での仕事もできなくなるためです。
例えばA社の給料が20万円、B社の給料が10万円の場合、B社で怪我をして休業した場合数年前まではB社の10万円で保険給付が算定されていましたが、法改正があり合算した30万円で算定されることになりました。
ストレスや労働時間の負荷も両方を合わせて総合的に判断されます。
まとめ
政府も推進していることで、副業・兼業の申し出も増えてくるかもしれません。
正社員・パートやアルバイト・起業など形態も様々です。
きちんと申し出をしてもらい、適切な管理をしていくことが大切です。