令和7年度雇⽤・労働分野の助成⾦について

今年度の助成金について新しいパンフレットが公開されました。
簡易版となっていますが、全体像を把握できますのでチェックしておきましょう。

厚生労働省:「令和7年度雇用・労働分野の助成金のご案内(簡略版)」https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000758206.pdf

昨年度からの変更点

キャリアアップ助成金の正社員化コースと賃金規定等改定コースを中心に、制度が大きく見直されましたので、しっかり確認しておきましょう。

正社員化コースの変更点

支給対象者が「重点支援対象者」と「一般対象者」に分かれるようになります。
重点支援対象者は支給額が大幅にアップし、有期雇用から正社員化した場合には80万円の助成が受けられるようになります。


改正前:令和7年3月 31 日までの取組 ※( )は大企業の助成額
有期→正規 80 万円(60 万円)
無期→正規 40 万円(30 万円)
【加算措置/加算額】
■派遣労働者を派遣先で正規雇用労働者として直接雇用した場合 28.5万円
■母子家庭の母等又は父子家庭の父 9.5 万円(有期→正規の場合)
■人材開発支援助成金の特定の訓練終了後に正社員転換
9.5 万円(一部 11 万円)(有期→正規の場合) 等
※雇用された期間が通算5年を超える有期雇用労働者については無期雇用労働
者とみなします。


改正後:令和7年4月1日からの取組 ※( )は大企業の助成額
【重点支援対象者(※)】
有期→正規 80 万円(60 万円)<2期>
無期→正規 40 万円(30 万円)<2期>
【重点支援対象者以外】
有期→正規 40 万円(30 万円)<1期>
無期→正規 20 万円(15 万円)<1期>

重点支援対象者とは

a: 雇い入れられた日から起算して3年以上の有期雇用労働者
b: 雇い入れられた日から起算して3年未満で、次の①②いずれにも
 該当する有期雇用労働者
①過去5年間に正規雇用労働者であった期間が合計1年以下
②過去1年間に正規雇用労働者として雇用されていない
c: 派遣労働者、母子家庭の母等、人材開発支援助成金の特定の訓練修了者

他に注意点は

・雇用された期間が通算5年を超える有期雇用労働者については無期雇用労働
 者とみなします。
・新規学卒者については、雇い入れられた日から起算して1年未満のものにつ
 いては、支給対象者から除外します。

賃金規程等改定コース

続いて、賃金規定等改定コースの変更点です。
引き上げ率によって支給額が段階的に設定され、3%以上であれば助成の対象となります。
特に、5〜6%以上の引き上げで6.5万円、6%を超えると7万円と、より手厚くなっています。


【改正前:賃金引上げ率の区分および助成額】

3%以上5%未満5%以上
5万円(3.3万円)6.5万円(4.3万円)

【改正後:賃金引上げ率の区分および助成額】

3%以上4%未満4%以上5%未満5%以上6%未満6%以上
4万円(2.6万円)5万円(3.3万円)6.5万円(4.3万円)7万円(4.6万円)

また、昇給制度を新たに導入する場合には20万円(大企業の場合は15万円)の加算もあります。

その他の変更点

キャリアアップ計画書については、これまで労働局長の「認定」が必要でしたが、
令和7年4月からは「届出」のみで可となりました。

まとめ

上記の変更は全て令和7年4月1日以降の取組から適用となります。
申請前に必ず最新要件を確認しましょう。
加算要件や対象者の定義にも注意しましょう。

参考:キャリアアップ助成金Q&A(令和7年度版)

https://www.mhlw.go.jp/content/11910500/001469678.pdf

著者のイメージ画像

伊藤 明子

大学卒業後、都市銀行本店営業部に配属。学生時代に税理士を目指していたこともあり税理士法人へ転職。育児専念期間中にファイナンシャルプランナー取得。その後別の税理士法人に勤務しながら社会保険労務士資格を取得し、2022年4月開業。 2つのFM局でパーソナリティとして番組を持ち、人事労務についてなるべく専門用語を使わずわかりやすくを心掛け発信中。